諸悪莫作 衆善奉行

「諸悪莫作 衆善奉行(しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう)」

 

「悪いことはするな、善いことはせよ。」

如何なる些細なことであっても絶対に悪いことをしてはいけない。どんなに小さなことであっても良いことは自らすすんで行いなさい。

という意味の言葉です。

しかし、毎朝毎朝このことを心がけても、実際に実行するとなると、さてどうでしょう!?

実は、この簡単なことが本当に大変で難しいことだということがわかります。

茶道の開祖、千利休(1522ー1591年)にこのような逸話があります。

ある時、門人が利休に「茶の奥義とは、如何なるものでしょうか?」と訊ねた時、

利休は「それは夏は涼しく、冬は暖かく、服の加減がよろしければ良い」と答えた。

門人は「そのようなことなら、別段あなたのご教示に預からなくても承知しております。」と言った。

利休は、それに対して「しかし、実際にその通りにきちんと行われているなら、私は喜んであなたの弟子になろう」と言ったのでした。

「諸窠悪莫作 衆善奉行」とは正にそれと同じで、「言うは易し、行うは難し」です。

昔、中国の鳥窠和尚が白楽天に言ったように「3歳の子どもでさえ言えることでも、80歳を超えた老人でさえ、その通りに行うことは非常に難しいものだ。知っていても実際に行わなければ、知っていることになならないし、何にもならない」ということです。

この句の後に、「自浄其意 是諸仏教(じじょうごい ぜしょぶっきょう)」(自らの心を浄めること、これが諸仏の教えである)

と続き、過去七仏が等しく保ったといわれることから、「七仏通戒偈」といいます。

仏教の最も基本的な教えで一大心理を説いたものです。私たちもこの言葉を心にとどめて日々精進したいものです。

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