お寺で用いる音の出る用具
お寺で用いる音の出る用具
寺院で用いられている音の出る用具は鳴り物といい、法要儀式を調整し、滞りなく執り行うために使用されています。つまり、鐘(かめ)・鼓(つづみ)・磬(けい)等は法要の始まりを報じ、終わりを伝える重要な役割を持っています。
まず、太鼓は法鼓(ほうく)とも呼ばれ、法要の際には昇堂の合図に用いられており、また読経時や唱題の際に拍子を取る用具としても用いられています。
次に、鏧(きん)別称として金丸は、法要の始・中・終にあって重要な役割があり、導師が禮盤(らいはん)を昇降する際に打ち鳴らして威儀あらしめ、特に法要の始めや終わりの際には、連打して諸仏諸天善神への道場へ来臨し給うことを促す役割があります。
ちなみに、当山では新たに大鏧(金丸)を購入しようと考えて勧募を開始したところです。
現在の金丸(直径1尺3寸=約40㎝)は、昭和9年に鬼子母神講の方々が寒修行をして浄財を集めながら安置して頂いたものです。平成23年が、当山開基勝鷹院日賢上人の第50回忌法要に当たっており、それを期に新たに大きな金丸(直径1尺8寸=約55㎝)を内陣に安置し、現在のは鬼子母神堂に安置したいと発願しました。
また、引鏧(いんきん)は声明の最初の句を発するとき、礼拝するときの式衆僧侶への合図に用いられますが、これもまた声明の音律を正すための重要な役割を担う法具です。
さらに、磬(けい)は導師が法要の際に打ち鳴らす法具です。これは中国で興った楽器で、我が国に伝わったのは7世紀に寺院の儀式に用いられるようになったといわれます。導師が法要出仕の大衆僧侶にその所作の意を知らしめる重要な法具です。
最後に、木柾(もくしょう)は、読経の調子を取るために用いられる法具です。大勢の僧侶が読経する大法要などではお経の調子を定めて、その読む早さなどを整えて引っ張るための大切な役割です。早さも雨が屋根からポツポツと滴り落ちるようなゆっくりとした「雨だれ」、やや早めの「中拍子」、最も早い「本拍子」とその役割はかなり重要な役割を担います。法要の善し悪しは、この木柾の上手い下手、鐘や太鼓の鳴り物の打ち方如何に関わってきます。