「自受法楽」
公開日:2009年10月19日
『自受法楽』(じじゅほうらく)
一切衆生南無妙法蓮華経と唱るより外の遊楽なきなり。経に云く「衆生所遊楽」云云。此文あに自受報楽にあらずや。衆生のうちに貴殿もれ給べきや。所とは一閻浮提なり。日本國は閻浮提の内なり。遊楽とは我等が色心、依正ともに一念三千自受用身の佛にあらずや。法華経を持ち奉るより外に遊楽はなし。「現世安穏後生善処」とは是なり。ただ世間の留難来るともとりあひ給べからず。賢人、聖人も此事はのがれず。ただ女房と酒うちのみて南無妙法蓮華経ととなへ給へ。苦をば苦とさとり楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合せて南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ。これあに自受法楽にあらずや。いよいよ強盛の信力をいたし給へ。恐恐謹言。
日蓮 花押
健治二年丙子六月二十七日
四條金吾殿御返事
日蓮 花押
健治二年丙子六月二十七日
四條金吾殿御返事